下記の病気は、食生活、運動、休養、喫煙、アルコールなど、日ごろのライフスタイルと密接な関わりがあることから「生活習慣病」と呼ばれています。
生活習慣病は40歳代を境に増え始めますが、あなたの心がけ次第で将来へのリスクを大幅に少なくできるのです。
生活習慣病を予防するには、まず自分の体や健康状態に関心を持って、理想的な生活習慣を保つ。そして、身近な病気や健診に関する知識を深めておくことが、とても大切です。
心臓は全身に血液を送り出していますが、この血液が動脈の壁に与えている圧力を血圧と言います。
心臓が収縮したときの血圧を収縮期血圧と呼びます。最大血圧、最高血圧、上の血圧などとも呼ばれます。
心臓が次に送り出す血液をためている時期(拡張期といいます)の血圧を拡張期血圧と呼びます。
最小血圧、最低血圧、下の血圧などとも呼ばれます。
血圧は、心臓の送り出す血液の量(心拍出量といいます)、動脈壁の弾力性、末梢血管の抵抗などの要素によって決められます。
世界保健機構(WHO)では、収縮期血圧140mmHg未満、拡張期血圧90mmHgを正常血圧と定義しています。
しかし、1997年11月に改訂されました米国合同委員会の第6字報告(JNC‐Ⅵ)では、正常血圧を収縮期血圧<130かつ拡張期血圧<85と定義するなど基準を厳しくする傾向にあります。
【WHO/ISHの診断基準(1993年改訂)】
腎臓病・内分泌疾患・血管系疾患など原因となる疾患のはっきりしている二次性高血圧もありますが、
ほとんどの場合ははっきりした原因を特定出来ない本態性高血圧です。
本態性高血圧は遺伝的素因と生活習慣が複雑に絡み合って発症すると考えられていますが、まだ詳しい事はわかっていません。
塩分 塩分を取りすぎると血液中の水分が増加し、循環血液量が多く成るため血圧が上がります。
肥満 心臓は肥満のからだの隅ずみまで血液を供給するためにポンプの力を強めねばなりません。
運動不足 運動不足により肥満になります。血管の中も不純物が蓄積し動脈硬化(血管が硬くなる)の原因となります。
ストレス 睡眠不足・精神的な緊張は交感神経を刺激して血圧を上げます。
不眠 睡眠不足・精神的な緊張は交感神経を刺激して血圧を上げます。
お酒 長期のアルコール摂取
実は高血圧ははじめから色々な合併症を引き起こすわけではないのです。
長い間、血圧が高いまま放置しておくと、血管は血液の押す圧力により壁が厚く、固くなってしまい弾力性が失われてしまいます。
血管はもろく、血管がやぶれたり、傷つきやすくなります。さらに、傷ついたところから血管の壁にコレステロールが沈着して血管の内腔がせまくなります(動脈硬化)。最終的には血管がつまり種々の疾患が引き起こされることになるのです。
加齢に伴う骨の老化現象の中で、最も多くみられるのが骨量の減少です。
骨量の減少が何ら中の原因で病的に方進した状態が骨粗鬆症なのです。
骨粗鬆症の『鬆』とは大根などにすが入った状態をさす言葉で、本来緻密である骨の組織がスカスカになった状態をいいます。
我々の体の骨量は成長とともに増加し20~30才頃に最高に達します。
それ以後は次第に減少し女性では、閉経後に急速な骨量の減少が起こることが知られています。
骨は一度成長がとまると、長さ・太さも一定になり一見変化がない様に見えますが、実際は骨の組織は常につくり替えられ、新鮮な組織で強度を維持しています。
つまり骨は日夜、古い骨を吸収し新しい骨が形成されているのです。この骨の吸収と形成のバランスが崩れると骨はもろくなります。
性ホルモン産生の低下のほかに、年をとると骨芽細胞(骨をつくる細胞)の働きが弱くなります。
また、腎臓の働きも低下するため活性型ビタミンDがつくられにくくなったり、食事の量が少なくなったりするため、カルシウムの吸収量が低下します。
乳製品をとっていなかったり、偏食して栄養バランスが偏ったりすると、食物からカルシウムなどが十分にとれなくなります。
閉経に伴って女性ホルモンが急激に低下すると、破骨細胞(骨を壊す細胞)の働きに骨芽細胞の働きが追いつかなくなります。
適度な運動で骨に刺激を与えると骨は丈夫になります。反対に、運動しなくなると骨はだんだん弱くなっていきます。
日光に当たると、皮下でビタミンDが合成されます。ビタミンDは腸からカルシウムを吸収するために必要な物質です。
ニコチンは、腸からのカルシウムの吸収を阻害し、カルシウムを尿中に排出します。また骨芽細胞の機能低下も引き起こします。
コーヒーなどに含まれるカフェインのとり過ぎや、過度の飲酒は骨量の減少につながります。
食事を極端に減らすダイエットは、栄養不足、特にカルシウム不足の原因になり、骨量の減少を招きます。
血中のCa(カルシウム)、P(リン)、AI‐P(アルカリフォスファターゼ)の測定、尿中のNTxの測定、X線撮影などによる骨量の減少の測定、最近では超音波装置による骨密度を簡単に測定することができ、正確に診断できます。
当然骨折をしやすくなったり腰痛がひどくなります。
背骨には軽度の「変形」から明らかな「骨折」まで、いろいろな段階の骨折がみられます。
激しい痛みで動けなくなってしまうこともありますが、痛みのないこともありますし、慢性の痛みがみられる人もいます。
しかし、安静にして寝てばかりいると筋力が低下し、骨もさらに弱くなってしまう恐れがあります。通常コルセットで腰を固定し、座る・立つ・歩くという訓練が可能かどうか、主治医とよく相談するようにします。
転んで手のひらをついたときなどにおきる骨折で、手術をしたり、手首から肘のあたりまでをギプスなどで2~4週間固定したりします。
転んで肘などをついたときにおきる骨折で、肩のまわりをギプスなどで固定します。
太ももの骨(大たい骨)の上端が折れやすい理由は、この部分は転んだときに力がかかりやすいからです。
高齢者では転んだ時にとっさに手をつけないため、膝をついたり、しりもちをついたりして、この部分が折れてしまうのです。
この部分の骨折は早く治して歩けるようにしなければ、寝たきりの原因になってしまうことが少なくありません、そのため治療には多くの場合手術を行います。手術後は早期からリハビリテーションを始めます。
脳血管障害は我が国死亡原因の第2位であり、死亡しなくても寝たきりになる最も大きな原因は脳血管障害です。
その中で最も頻度が多いのが脳梗塞・脳血栓などの虚血性脳血管障害であり、症状の出現(前兆)を見極め、正しい治療が必要となります。
脳血栓とは、脳の血管に動脈硬化などの変化が起こり、そのような部分に血液が固まって血管が細くなったり、つまってしまった状態です。
脳塞栓とは、心臓や心臓を出てから脳に至る前の血管の中で血液が固まった血栓が出来て、これが血液の流れに乗って脳の血管に入り込んで脳の血管をつめてしまう状態です。
いずれの場合も血液が不足したままだと脳の組織が梗塞になってしまいますが、早期に脳の血流が改善すると脳梗塞を免れたり、障害を最小限で食い止めることが可能になります。
高血圧、高脂血症、糖尿病などの治療中に手足が麻痺したらすぐ、1~2時間以内に専門病院に駆けつけなければいけません!
麻痺の原因が脳梗塞の時、最新治療が有効なのは発症数時間以内です。
翌日まで麻痺を我慢していては、ある程度の後遺症が残ることは覚悟しなければなりません。
脳梗塞後遺症である運動麻痺や感覚障害、言語障害などがなかなか治らないことは少なくありません。
急性期の内科的治療、外科的治療が一段落しても社会復帰するまでの間にいろいろな訓練が必要になります。
これがリハビリテーションです。リハビリテーションの目的は、残された機能を最大限に引き上げて家庭復帰、職場復帰をすることです。
リハビリテーションをすれば元通りに回復すると考えている人もいるかもしれませんが、一度完全に失ってしまった機能はたとえリハビリテーションをしても100%元通りにはなりません。
しかしながら、リハビリをした結果、麻痺は治らなくても自分の身の回りのことはもちろん、掃除、洗濯、台所の仕事などおどろくほど上手にこなしている人もいます。
あきらめないでリハビリに取り組むことはとても大切なことです
高脂血症とは血中のコレステロールや中性脂肪が高い状態を言います。
コレステロール、中性脂肪の多い食品の摂りすぎが原因か、もしくは排泄不足(運動不足)が原因です。
エネルギーのとりすぎは、脂肪の過剰摂取を招き、肥満の原因になります。
肥満になると、動脈硬化を促進する悪玉コレステロールが増え、逆に動脈硬化を抑える効果が期待できる善玉コレステロールが低下するリスクがあります。
コレステロールは体内で細胞膜やホルモンの原料となる非常に大切なものですが、とり過ぎると血中コレステロールを増加させ、動脈硬化を促進します。コレステロールは1日300mg以下に抑えましょう。
脂肪の成分には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。飽和脂肪酸は動物性の脂に多く含まれ、コレステロールを増やす働きをします。一方不飽和脂肪酸は植物性の油や魚の脂に多く含まれ、コレステロールを減らす働きを持っています。高脂血症は動脈硬化を進行・悪化させやすいので、動物性脂肪の多い食品は控えましょう。
食物繊維には悪玉コレステロールを低下させて、善玉コレステロールを増加させる働きがあります。またコレステロールそのものを体外に排泄する作用もあります。食物繊維は未精白の穀類(玄米・麦ごはん・全粒粉パンなど)や野菜、芋、きのこ、海藻、くだもの、豆類などに多く含まれます。こうした食品を上手にメニューに取り入れましょう。
血液中の悪玉コレステロールが多い状態が長年にわたって続くと、動脈の内壁に少しずつ沈着し、次第に血管壁が厚くなり弾力がなくなっていきます。この状態が動脈硬化です。動脈硬化が進むと血管内腔がせまくなり、最終的には血管が詰まってしまいます。
お酒は「百薬の長」などと言われ、適量であれば、ストレスを解消し、食欲を増し、睡眠を促し、動脈硬化を予防するなどの作用があります。しかし、飲み過ぎれば肝臓や膵臓に悪影響を及ぼします。
アルコールの取りすぎは、胃炎・急性膵炎・慢性膵炎・口腔や食道の癌を引き起こすほか、痛風・高血圧症などの悪化にも関与しますが、一番問題になるのは、肝障害です。
大量の飲酒を続けていると肝臓の細胞内に中性脂肪がたまっていきます。
肝臓の細胞全体の30%以上に脂肪の塊が沈着した場合を脂肪肝と言います。
さらに飲酒を続けていくと、アルコール性肝線維症やアルコール性肝炎に進展します。
前者は肝細胞の周囲に線維が増加していくもので、後者は肝細胞がアルコールのために変性・壊死を起こした状態です。
いずれの場合も進行するとアルコール性肝硬変となります。
肝硬変は、肝細胞の破壊が繰り返されることにより組織の線維化が進み、肝臓が硬くなった状態で、こうなると肝臓は正常の働きができなくなり、生命に係わる状態となります。
これらの肝障害の問題点は、自覚症状がほとんどないか、あっても軽度のだるさ・食欲不振程度で、あまく見ているうちに肝障害が進行し、気がついたときにはすでにかなり重症という事が少なくないことです。
唯一職場検診などの時に行われる肝機能検査がその存在を発見するチャンスです。
空間的な関係を異常に感じることをいいます。中枢性のめまいは非回転性で脳幹部の障害で生じます。
また未梢性めまいは回転性で内耳、前庭神経(核)の症状で生じます。よく耳にするメニエール病は難聴を伴う未梢性めまいです。
自分自身がグルグルまわったり、周囲がグルグルまわる感じをいいます。
物が左右や上下に流れるように感じることもあります。
平衡器官に急激な変化(血流障害、炎症、内耳のむくみなど)が起きたときに生じます。
耳の病気でも、脳の病気でも起きてきます。
【代表的な病気】
頭やからだがグラグラ揺れている感じや、フラフラする感じを言います。また、実際に歩くとふらつく感じも含めます。回転性めまいを起こす病気でも、このような症状になることがあります。平衡器官がある程度広い範囲でおかされたときに多いようです。歩いてフラフラする時には、小脳の障害のこともあります。
【代表的な病気】
からだがフワフワする感じ。からだが宙に浮いたような感じ。船に乗っているような、あるいは雲の上を歩いているような感じ。また、なんとなく頭がフワーッとする感じ などを言います。病気が軽い時にはこの様な症状になることがありますが、これらの症状だけでは実際に病気があるのか分かりません。長くつづくようなら、一度検査を受けられたらよいでしょう。
(眼前暗黒感)立ち上がった瞬間にクラクラッとしたり、長く立っていて目の前が暗くなる感じのことをいいます。
子供には時々みられます。(起立性調節障害といいます)
また、ふだん低血圧ぎみの人もなりやすいです。
最も注意しなければならないのは、高血圧症や脳動脈硬化症のある人です。
このような人が急に血圧が下がると脳梗塞をおこす危険があります。
血液中の糖分が異常に高くなってしまった病気です。
食事をすると、誰でも一時的に血糖値が高くなりますが、血糖値が高くなると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げるように作用します。インスリンが分泌されなかったり、分泌されても量が少なかったり、インスリンがうまく作用しなかったりすると、血糖値は正常値を越えて高くなってしまいます。
糖尿病の発症には、体質的な素因が関係しています。
比較的若い時期に発症する糖尿病は、ウイルス感染により自己免疫と呼ばれる異常現象によるものが大半を占め、重症になりやすいと言われています。
インスリンの分泌量が少ない、インスリンの効き目が悪いなどの素因は元々の体質が大きな原因です。しかし、体質的因子だけで糖尿病が発生するわけではなく、それに種々の生活習慣が加わることで初めて発症します。
糖尿病は2種類に大別されます
インスリン依存型糖尿病
インスリンを自分で作ることが出来ない為、外からおぎなう(インスリン注射)必要のある方をと言い、15歳以下の子供に多く見られます。
インスリン非依存型糖尿病
常にインスリンを外からおぎなわなくても薬や食事療法で血糖値をコントロールできる方をインスリン非依存型糖尿病と言い、日本ではこの種類が大半を占めます。
この2種類の他にも膵臓そのものの病気や、ホルモン異常によって2次的に発症する場合もあります。
病院や健康診断で尿に糖が出たとか、血糖値が高いと言われても、すぐに重症な病気になることはあまりありません。しかし血糖値が高い状態を5年・10年・20年と長年続けると糖尿病は各機能に障害を与えていきます。ですから、最初は無自覚・無症状でほったらかしにされ本人も気がつかない内に症状が重くなっていたと言う場合が多いようです。
しかし糖尿病の怖さはその長年の蓄積が各種病気を引き起こします。
頭痛は、痛みの起こり方によって、大きく
「日常的に起こる頭痛」
「脳の病気に伴う頭痛」
「慢性頭痛」
に分けて考えられます。
「うつむき」や「前かがみ」といった無理な姿勢が続くと、首すじや肩、後頭部の筋肉が収縮し、「筋肉のこり」を招きます。その結果、硬くこった筋肉が神経を圧迫して、頭痛を引き起こすと考えられています。また、精神的ストレスも筋肉を収縮させることがわかっています。
『不眠』と一口に言っても、人により症状は様々です。一般的に睡眠障害は
①寝つきが悪い(入眠障害)
②夜中に途中で目が覚めてしまう(中途覚醒)
③朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
に分類され、①入眠障害がもっとも多くみられますが、それぞれのタイプで治療法・対処法も異なるのでまず、自分がどのタイプなのか?また不眠になってしまった原因は何か?をまず知ることが必要です。
睡眠充足状態、加齢的、生態リズムのずれ。病的な不眠ではありません。
日中に極度の緊張状態を必要とする仕事の方は、神経の高ぶりがなかなか落ち着かず寝つきが悪いのです。
ストレスが原因であったり、思い悩むことが多い場合には精神的に障害を受け「うつ病」に移行
アルコールは確かに入眠を誘いますが、中途覚醒がみられ、またその悪循環により睡眠障害になります。
薬物も自分の障害のタイプに合ったものを使用しないと睡眠障害になります。
騒音や照明などの環境因子が身体に影響を与えている場合があります。
治療としては基本的に『睡眠』は、リラックスすることが重要です。
基本的に身体は必要な睡眠を自分でとろうとしてくれるわけですから、無理に構えないようにし、できる限り毎日規則正しい時刻に睡眠が取れるようにすることです。
適度の運動をすることは、身体の疲れと精神的なストレスの発散につながり、睡眠を促進します。
またごく少量の飲酒であれば、寝付きをよくし、その後の睡眠にはあまり影響を与えないことが知られていますが、それ過量になると、睡眠後半の睡眠の質が悪化し、中途覚醒が増え睡眠の充足感がなくなり、かえって睡眠不足となります。
これらの工夫により睡眠障害が改善しない場合は、医師に相談して睡眠薬の服用を試みてもいいかもしれません。
自分のリズムが戻ってくれば薬に頼らなくてもよくなると思います。
肥満は本来体脂肪の異常増加を意味しますが、通常は、測定が容易である体重で定義されます。
BMI(肥満指数):体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))=22
が最も健康であることがわかりました。そこで、
身長(m)×身長(m)×22 → 標準体重(kg)
としたのです。
(例)165 cm の人は、1.65×1.65×22=59.9 kg が標準体重です。
BMIからみる肥満度
18.5未満 「やせ」
18.5以上25未満 「正常」
25以上30未満 「1度肥満」
30以上35未満 「2度肥満」
35以上40未満 「3度肥満」
40以上 「4度肥満」
なお、体脂肪率では男性は20%以上、女性は30%以上の場合、肥満と考えられます。
生命保険会社の調査によると「肥満者は短命」という結果が出ています。
また、中高年者に問題となる生活習慣病は肥満の人ほど多く発症しています。
また、食べ過ぎや運動不足の生活が長期間にわたって作り出されたものが「肥満」です。
肥満自体も生活習慣病といえます。